国家の品格

国家の品格 (新潮新書)

国家の品格 (新潮新書)

読んだ、一日で。というか結構短いし簡単だからね。内容としては
新 歴史の真実 (講談社+α文庫)

新 歴史の真実 (講談社+α文庫)

をちょっとづつ足した感じ。桜の部分とかは思いっきり現代帝王学だし。まぁ、考えることは皆同じってことですかね。


オリジナルの部分といえば論理を否定してる所だけども、ちょっとそこは無理があるっぽいなと思った。確かに正しい出発点がなければどんな論理しても無駄ってのは分かるんだけど、何が正しくて何が正しくないのかということ自体がやっぱ抽象的だからね。伝統を大事にするのはいいが伝統的な道徳のみが正しいってわけでもないし、そこはやっぱバランスが大事ってことですね。

然りといえども、事物の軽々信ずべかららざること果して是ならば、またこれを軽々疑うべからず。この信疑の際につき必ず取捨の明なかるべからず。蓋し学問の要は、この明智を明らかにするに在るものならん。
     ―福沢諭吉

現代の合理主義もほどほどに疑い、武士道もほどほどに疑い、どちらもほどほどに信じて始めて前に進めるわけだ。まぁ、一応論理を否定してないって明記はしてるんだけどね、なんか後で言い過ぎたから付け足したという感がいなめない。


でも、美意識が大切とか日本の武士道はいいことだとか、いいことは書いてある。天才をはぐくむ土壌とかの部分はすごい興味深かったしね。しかし、いくら日本が美しい国(だった)としても、先の大戦を持ち出して何でこんな奴等に負けたんだろうか、日本が勝っていればよかったのにとかいう態度は感心できない。気持ちは分かるけど、こういうことを外に出しちゃーいけんと思う。武士道は死の文化とも書いてあるし、本当に武士道を崇拝するならそういうことを思わず潔く負けを認めて、これからどうするかを考えないと。多分、この態度が最初に明確に表れていたから感想が否定的になってるのかもしれんね。