- できるやつ、できないやつ 2

今回はステップ2、理論の理解でどういう風に差が出るのかを考えながら書きたいと思います。

差はステップ1の時点で出始めます。理論とは知識から2,3歩深く考えて理解することができます。当然、使える知識が多ければ理論の理解はより簡単です。授業でも一つのコンセプトについて例を多く出された方がそのコンセプトがより分かりやすくなりますよね?「例」という知識が多ければコンセプトの背景にある「理論」がより分かりやすくなるわけです。


ただし、知識量が多い人が必ずしも理論を理解しやすいとは限りません。理論を知識からひねり出すには記憶以外の思考プロセスが必要とされます。どんな思考プロセスかって言うのははっきりと自分でも分かってませんが、二つぐらいなら上げられます。


その思考プロセスの一つは「いくつかの知識から共通点を見出す」ことです。まず理論の定義に戻ります。


理論とは個々の現象や事実を統一的に説明し、予測する力をもつ体系的知識。


統一的に説明するということは個々の現象や事実に何らかの共通点がなければできません。化学反応Aのメカニズム(どうやって化学反応が起きるか)を勉強しているとしましょう。薬品BとCは化学反応Aを起こせるとします。それと同様に薬品DとEも化学反応Aを起こせます。では化学反応Aがどう起きるかはどうやって考えましょうか?まずは薬品B,Cと薬品D,Eにある共通点を探します。両方同じ反応を起こすならその共通点が反応に大きくかかわっているはずだ、と考えるわけです。仮に薬品BとDは両方とも酸性で、CとEはアルカリ性だったとしたら化学反応Aは酸性とアルカリ性の物質の間で起こるという理論に行き着くわけですね。もちろん、この理論は化学反応Aがどう起きるかという理論としては不完全ですが、化学反応Aを説明する理論への一歩を踏み出したことにはなります。


もう一つの思考プロセスは「知識を比べる」ということです。化学反応Aの理論を追及するためにもう一つの知識をあげます。「薬品Fは酸性、薬品Gはアルカリ性、だが二つをあわせても反応Aは起こらない」。ここで理論をさらに完全にするために薬品FとGがB、C、D、Eとどう違うか比べます。そこで酸性の薬品BとDには酸素が含まれているが、Fには含まれていないという違いがあきらかになったとすると、理論は「化学反応Aは酸素を含む酸性の物質とアルカリ性の物質の間で起こる」というもう少し具体的な理論になるわけですね。


まぁ、俺がはっきりと言えるのはこの二つのプロセスだけです。他にもあることは確かですが言葉でははっきり言い表せません。きっちり分かってないってことです。反省して精進します。


さて、理論が理解できるかできないかはこういう思考プロセスができるかどうかにかかってます。知識をいくつか提供されたらすぐ共通点を見出せたり、違いがわかったりする人は理論を簡単に理解できます。言われなければ分からない人は理論を理解するのに時間がかかります。言われてもよくわからない人もたまにいます。そういう人は理論を理解することができません。


個人的にステップ2は先天性の差がステップ1よりでると思います。知識は、その知識に繰り返しさらされることによってどんな人でも覚えることができます、記憶をつかさどる脳の部分が正常である限り。いやでも覚えてしまうことなんて誰でもあることです。


では思考プロセスはどうか?「共通点を探す」と「比べる」のみのプロセスのみで考えても誰でもできるものではないと思うんです。もちろん共通点があまりにも明確だったりしたら誰でも見出すことができるでしょう。しかし学問が深くなっていくにつれ共通点も違いもどんどん明確ではなくなってきます。共通点を探すのに別の理論を応用しなければならないなんてよくあります。人にとって言われても分からないレベルの理論とはその人にとっての思考プロセスの限界であります。もっとよく説明すればわかるはず、思考プロセスを高めるトレーニング(多分あると思う)をすればそんな限界なんて超えられると思う方はいると思いますが、そもそも言われても分からないなんて人はその理論を理解する努力をする気がないのです。要は努力が割に合わないと考えてるわけ。割に合わない努力はできないのと同じ様なもの、だからそう考えた時点でその人は思考プロセスの限界に達したわけです。思考プロセスの限界を超える努力が割に合うかどうかがステップ2ができる人とできない人の大きな違いだと思います。