医者志望でないわけ

アメリカで生物学専攻といったら圧倒的に医者志望の人が多いのです。そりゃー給料、社会的ステータス、共にトップクラスですからね。後、死に掛けの患者を救うなんてヒロイックな気分…はそんな頻繁に味わえるわけではありませんけど、やっぱり人を助けてると最も実感できる職業でもあります。まぁ、高収入+人助けで生物化学系の人にとって圧倒的な人気職業、医者、でありますが俺は全く心動かされたことがありません。一年生の時に医学系の登竜門の有機化学のファイナルを30分で終わらせた時は「なんで、そんな出来るのに医者にならないの?」みたいなことを結構聞かれた。その時は別に人助けに興味ないとかいってたな〜。というか研究にしろ医療系の研究には極力関わりたくないって思ってたな。


まぁ、理由はテストとかが正直めんどくさいってのが一つ。俺らしい理由ですね。


もう一つは医療にそんなに魅力を感じないってこと。俺の中では医療=癌治療ってイメージが凄い根強い。これは、多分テレビとかで放送されてるのがほとんどそんなもんだからで、このイメージはもちろん間違っているんだけど聞くだけでそういうイメージになってしまうんだから仕方がない。というか癌さえ治療出来るようになれば世の中はよくなるって感じで癌に対する研究は凄い莫大な金がかかっていると思う。俺が研究し始めた時に、奨学金を応募しようと思ったら、応募事項に「癌研究に限る」とかって書かれていたのもそういうイメージを強めていったんだと思うな。


それがあんまり好きになれないんだよな。


癌にかかったとして、不幸にして若くしてかかってしまったとしても、その頃は腫瘍を取り除くための手術に耐えるだけの体力はあるだろう。そしたら大体解決なんじゃない?もちろん、早期発見が鍵だけど。もし、腫瘍に取り除くための体力がないような年齢で癌にかかったらそれはもう寿命をまっとうしたってことなんじゃないだろうか?まぁ、すごい単純な考え方だけど…


で、その寿命をまっとうしてるであろう人たちの寿命をさらに延ばすために莫大な金が使われているって考えると、もっと違うことのために金使えって思っちゃうんだよね。例えば、発展途上国での死因で結構大きいのが衛生の悪さによる下痢とか、栄養失調での免疫力低下とかで単純な風邪にかかって死んじゃうとか。先進国じゃあまり考えられないけど。しかもそういう単純な原因で死ぬのって大体小さな子供なんだよね…多分。でも、そういうのってほとんど抗生物質とかももう開発されてて、低コストで莫大な量を生み出すための技術とかもある程度確立されてると思うんだ。


寿命の人の命をさらに延ばそうとしているお金(癌研究のお金)でどんだけ恵まれていない人の命を救えるのかなって考えたら、癌研究とかには関わりたいとは思えないんだよね。


まぁ、書いてみて気付いたけど、発展途上国での医療を中心に行う機関とかもあるから、もし本当にそういう人たちを救いたいんだったら医者になってそういう機関に入ればいいのにね、俺。


で、この文を投稿する前に読み直したら、さらに気付いた…なんで、単にバクテリアの秘めた可能性の方が面白そうだから医者目指すより研究かエンジニアやりたいっていう理由じゃいけないんだろうなと。こんな最もらしい理由をつけて癌の医療否定するなんて実は俺、医者目指している人たちに対してコンプレックス感じてんじゃね?そういや、医者になろうとしてる奴は凄い苦労してるもんな〜、頑張ってるもんな〜。しかも医者になってからも大変だからな〜。そう考えると自分ってこんな楽な道選んでいいのかなって思う。就職した過程が過程だし…ここに「楽してる自分はいけない」という自分に対する禁止があったんだな。


それに気付いた上で、もう一回自分の書いた文読んでみると…恥ずかしい(´・ω・`)。でもまぁ、全く的外れでもないと思うし、大事なことに気付かせてくれたわけだからこのままにしておく。